783人が本棚に入れています
本棚に追加
/77ページ
良かった、誰もいない。
一安心。
それにしても素敵なログハウスの別荘。
半露天の大きなジャグジーもある。
「お坊ちゃまなんだねぇ。お父さん何してる人なの?」
「昔から代々続く農家だよ。
地元の名士ってやつ?!
今は兼業農家だけどね。オヤジは自営で外壁工事やってて。あ、この壁もオヤジの手作り。」
わざとキレイに塗らず、ゴツゴツした感じにした壁。
この別荘に合っている。
センスがいい。
「そうなんだぁ。すごいね♪」
話を聞きながら、年上らしく、買ってきた食べ物をコンビニ袋から取り出しテーブルに並べる。
「とりあえず乾杯!」
「かんぱ~い!」
乾いた喉に缶ビールを流す。
偶然だが、2人の好きなビールの銘柄が同じだった。
コンビニの酒コーナーの前で、『こんなところでも気が合うわ~』なんて私浮かれちゃってたし…。
そう言えば、いつから、この苦いビールがおいしいと思う歳になったんだろう。
しかも、今では好きな銘柄のビールしか飲まない徹底ぶり。
完全にオヤジ化してる。。。
乾き物をつまみに、自然と飲んでしゃべって、キスをして、
飲んでしゃべってキスをして、
そんなことを繰り返して時間が過ぎた。
やっぱりキス魔だ。
「布団だそうか。」
「そだね。」
洋介君が、1組のシングル布団を押し入れから出した。
もう一組敷けばいいものを、わざわざシングル一組だけ敷き、狭い布団の中で、またひとしきり燃えてしまった。
またやっちゃった…。
これって完全にセフレ化か。。。
まぁ、いっか。
なるようになる。
私は洋介君の底抜けに明るい所が好きだ。
朝になり、洋介君を駅まで送り、その日は帰った。
『都合のいい女』という言葉が脳裏をよぎり、
私はすぐさまそれを掻き消した。
最初のコメントを投稿しよう!