初デート

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良かった、誰もいない。 一安心。 それにしても素敵なログハウスの別荘。 半露天の大きなジャグジーもある。 「お坊ちゃまなんだねぇ。お父さん何してる人なの?」 「昔から代々続く農家だよ。 地元の名士ってやつ?! 今は兼業農家だけどね。オヤジは自営で外壁工事やってて。あ、この壁もオヤジの手作り。」 わざとキレイに塗らず、ゴツゴツした感じにした壁。 この別荘に合っている。 センスがいい。 「そうなんだぁ。すごいね♪」 話を聞きながら、年上らしく、買ってきた食べ物をコンビニ袋から取り出しテーブルに並べる。 「とりあえず乾杯!」 「かんぱ~い!」 乾いた喉に缶ビールを流す。 偶然だが、2人の好きなビールの銘柄が同じだった。 コンビニの酒コーナーの前で、『こんなところでも気が合うわ~』なんて私浮かれちゃってたし…。 そう言えば、いつから、この苦いビールがおいしいと思う歳になったんだろう。 しかも、今では好きな銘柄のビールしか飲まない徹底ぶり。 完全にオヤジ化してる。。。 乾き物をつまみに、自然と飲んでしゃべって、キスをして、 飲んでしゃべってキスをして、 そんなことを繰り返して時間が過ぎた。 やっぱりキス魔だ。 「布団だそうか。」 「そだね。」 洋介君が、1組のシングル布団を押し入れから出した。 もう一組敷けばいいものを、わざわざシングル一組だけ敷き、狭い布団の中で、またひとしきり燃えてしまった。 またやっちゃった…。 これって完全にセフレ化か。。。 まぁ、いっか。 なるようになる。 私は洋介君の底抜けに明るい所が好きだ。 朝になり、洋介君を駅まで送り、その日は帰った。 『都合のいい女』という言葉が脳裏をよぎり、 私はすぐさまそれを掻き消した。
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