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そんな啓祐の近くでメテオクラスターの一部が爆発を起こすと、啓祐はその熱に思わず顔を覆ってしまった。
「あっつ……」
自分の魔法に巻き込まれたことからわかる通り、この魔法は術者が完璧に操れるというわけではない。ただいたずらにフィールド全体を掻き回すための魔法。
そしてそれ故に、この場所を知るために効率よく遮蔽物を破壊することができる。穴の空いた壁から冷たい突風が吹き荒れる。
啓祐はその壁の向こうへ視線をやる。
(一体、ここはどこなんだ……?まだよく見えない)
そんな中、ユリゼンは起き上がり、刀を手に、隆二と夏樹の元へ歩き出した。
駆け付けようとした啓祐だが、その間を遮るかのように隕石が落ち、爆発した。
隆二はほとんど無傷のユリゼンを見て言う。
「こいつ、どこまでしぶといんだ」
「まだいけるよね?隆二」
「むしろ、こいつを削るなら俺のスキルが一番相性が良い。俺はどこまでもやれるぜ」
隆二は手を翳し、光の弾丸をいくつも放つ。
じわじわとユリゼンのHPを削り、夏樹も雷の魔法で応戦する。
そんな中をユリゼンは駆け抜けて来る。
そんなユリゼンの振る刀を、隆二は剣を持って受け止める。
そこで隆二は空いている左手で光のレーザーを放つ。至近距離からの魔法攻撃。そのまま後ろ向きに吹き飛んだユリゼンへ、隆二は更に光の弾丸を放つ。
それでも跳び上がり、再び隆二に向かっていくユリゼン。
「こいつ、しぶとすぎだろ!」
休む暇も与えないほどのスーパーアーマー。これは体力勝負になるなと隆二は思った。
今度は夏樹が何かの魔法を唱えると、そこから目に見えない何か空気の塊のようなものが放たれ、ユリゼンを吹き飛ばした。
すぐに起き上がったユリゼンはその場で立ち止まったまま、二人を見る。
それはなんだか嫌な視線だった。
まるで敵のAIに自分たちのことを分析されているかのような、そんな感覚。
しかしその感覚は概ね当たっているようだ。ユリゼンは、今自分にとってどちらが脅威なのかを測っていた。その結果ユリゼンが出した答えは、隆二を排除すること。
ユリゼンは隆二へ向かって走り出した。
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