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啓祐はもう一度剣を翳し、雷を纏う。
「この……!」
ユリゼンは再び、啓祐の一閃を跳んでかわす。
啓祐の雷の攻撃は完璧に見切られている。それを見ていた夏樹はほとんど確信に近いものを得た。
(やっぱりそうだ。この敵、対峙したときより明らかに戦闘能力が向上してる。
きっと、恐ろしい速度で学習しているからだ。私たち一人一人の戦闘スタイルを見極めて、適切に対応している。
さっきは中にプレイヤーが入っていると思ったけど、違う。高度なAI。高度な機械が組まれてる。そんな感じ……)
ここで夏樹は考える。
ユリゼンのHPはかなり削ったはずだ。しかしそれでも、数少ない敵へダメージを与える手段は見切られている。
このままではじり貧であると。
だから、勇気を持ってある決断する必要がある。
(……このまま戦うのはもしかしたらリスクがあるかもしれない。
でもこの情報を持ち帰って、序盤で離脱した依菜ちゃんや魁斗に任せれば、敵が二人に対応する前に一気に倒せるかもしれない!!)
「啓祐君……!!」
夏樹は啓祐にその考えを提案しようと声を上げる。
しかしその時、天井が大きく崩壊する音が聞こえた。
啓祐の雷の一閃をかわすために跳んだユリゼンは、そのまま天井へと到達し、そこを砕いた。
啓祐を押し潰すように、次々に岩石が落ちて来る。
「くっそ……!」
思わず顔を覆った啓祐は、既に敵の姿を見失っていた。
「啓祐君ッ!」
啓祐は、背後からユリゼンに刀を突き刺されてしまった。
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