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啓祐は気が付けば隆二の顔面を殴っていた。
「俺は友達として優希の電話に出ただけだ!勝手に部外者が入ってくんな!」
「お前、今殴ったな」
「冷静になれよ。勝手に決めつけて八つ当たりなんかするなよ!っていうか、思っててもそんなこと本人の前で言うな!」
「うるせーな!」
と、隆二は啓祐に向かって光の弾丸を放った。目の前の料理が宙を舞い、飛び散る。
啓祐はそんな光の弾丸を顔に受けてしまった。
「今殴った分だ。これ以上やるっていうなら……」
「二人共いい加減にしてよ!冷静に話し合えないの?」
と、ここで依菜が大声を上げるが、二人の熱は収まる気配を見せなかった。
一旦電話を切ろうと優希に一言言おうとするも、既に優希との通話は切れていた。
隆二は啓祐を指差す。
「お前らはわかってねぇ。
確かにシャドーの連中は知り合いだし、戦争に負けて可哀想だとは思う。俺だって天宮さんには協力するって言ったけど、単なる社交辞令に決まってんだろ?
いいか?同情だけじゃあクリアーはできねー。戦争に負けたあの人たちは、ゲームクリアのレースに脱落したんだ。俺らまでそんな泥船に乗る必要はない。
これは、魁斗とジョンも同じことを言うと思うぜ」
「……俺は今、自分にかかってきた友達からの電話に出ただけだ。
何も話を聞いてないのに、勝手に決めつけて突っかかって来るなよって言ってんだ」
「話なんて聞かなくてもわかるだろ。
優希がちょっと可愛いからって、甘い言葉で惑わされんなよ。お前絶対詐欺に遭うタイプだぜ」
「だから勝手に決めつけるなって!」
「決めつけじゃねぇ。リスクヘッジだ。
お前はいいのか?せっかくここまで来たのに、攻略情報だけ持っていかれても。
あいつらは今、ある意味無敵の人だ。すべてを失ってもプレイヤーである以上は戦える。天宮さんも言っていた通り、戦う力だけは残ってんだ。
そんな連中が、今何を考えるかわかるか?」
「知らねーよ……」
「手段を選ばず、闇落ちするだけだ。
クリアする意思はあるって言ってたが、それならどんな汚い手でも使うつもりだろうぜ?
だって、無敵の人なんだから。失敗しても何も失うものはないんだから」
「優希はそんな感じじゃなかった……」
「お前、よくそんなんでここまで来れたな。
なんでお前みたいな考えのやつが……」
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