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やがて啓祐と隆二は、依菜に謝ろうと彼女の部屋を訊ねた。
しかし扉をノックしても出てくる気配がないし、返事もない。当然鍵だってかかっている。
二人に対して相当怒っているのだろうかと考えたが、ここでナビの機能を思い出す。
依菜の居場所を確認すると、この部屋にはいないことがわかった。
どこか違う部屋にいる。
そこに向かい、ノックすると、中から魁斗が扉を開けた。
二人を見下ろす魁斗は舌打ち混じりに言う。
「なんで俺の部屋にばっか集まって来んだよ。うぜーな」
部屋の中には既にジョンと依菜がおり、食事を取っているところだった。
その姿を確認した二人は中に入り、依菜に頭を下げた。
「依菜、本当にごめん」
「…………」
初めはそっぽを向いていた依菜だったが、二人の顔を見て、ふっと笑った。
「……いいよ。なんか、私が泣かしてるみたいに見えて来たし」
そう言われた二人は、まだ涙が残っていたのかと思わず袖で目を拭う。
「ほら、もう出て行けよ。邪魔だぜ」
と、魁斗は依菜の背中を押す。
「もう、いいじゃん。今日ぐらいみんなで一緒にご飯食べようよ」
啓祐は魁斗に言う。
「依菜の話聞いてくれてたんだよな。いいとこあるじゃん」
「部屋に戻ろうとしたらこいつに捕まったんだ。ったく、お前らいちいち揉めてんじゃねーよ。ガキ共が」
依菜はふと思い出したように言う。
「あっ、優希ちゃんにはもう謝ったの?」
「今から電話するよ」
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