エルセルム

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「でさ、さっきの優希の電話で俺は思ったんだ。 シャドーの中にも実はギター経験者が居て、この暗号に気付いた。 リズム記号はどうやって解読したかわからないけど、どっかからギターを入手して、演奏した。 でも難しくて弾けなかったんだ。だから楽器経験者の俺に声をかけた」 隆二は指摘する。 「憶測の域を出ないっていうのは置いておいて、もしそうだとしても、相手には演奏できないんだから放っておけばよくねーか? ここで協力してクリアしちまうと、さっき俺が言ったみたいに、良いように利用されるだけってことになっちまう。 まさかどっかのジョンが言うみたいに、見返りに優希とヤれるとでも思ってんじゃないだろうな?いくら相手が無敵の人だからって……。まぁ、本人の自由か……」 「あのなー……」 「悪い悪い。優希のことは冗談だって」 「ギターなんてさ、練習すれば誰でも必ず弾けるようになるんだ。 向こうに楽器経験者がいるなら、放っておいたら時間の問題でいずれ先を越される。 こっちはギターすら入手していないし、これから別の攻略に入るんだ。 もしこれが先着1組限定のイベントだったら、逃すのは悔し過ぎる」 「うーん。 じゃあ仮に協力するとして、その報酬をどう分けるかが問題だな。 下調べもろくにできてないこっちとは違って、向こうは報酬に目星はついてるだろうし、事前に不利な条件を飲まされる可能性もある」 そんな二人の会話に、依菜が入る。 「報酬が一個しかなかった場合はどうするの? 例えばさ、進化の宝玉のときみたいに。サタン戦の時は、高橋さんたちが気を利かせてくれて平等な条件で手に入れたけど。 でも、優希ちゃんたち主導のイベントでそれを貰うっていうのはさすがに図々しいよねー……」 依菜の鋭い指摘に、隆二は納得して頷いた。このままでは揉めるのは必至。 啓祐は言う。 「だったら、それに見合った情報とトレードすれば良いんだよ。こっちには進化の宝玉に匹敵するだけの情報がある」 「何のこと?」 「ここ、セントラル島の攻略方法だよ」 「はぁ?お前、本当にそれでいいのか?」 隆二の言葉に啓祐は強く頷くが、今度は魁斗が言う。 「ここの攻略情報なんか、進化の宝玉に匹敵しねぇだろ」 「え?マジ?俺はすると思うけど」 「こんなのいずれたどり着く情報だし、ましてやここの情報なんて、あいつらにとっては知ってても無駄なんだぜ。 エラド地方に来ようものなら、高橋たちが喜んで潰しに来るからな。知ってても来れねぇんだ」 「……そうか。あの人たちは"元"とは言え、シャドーだもんな。確かにエラド地方を通ってここに来ることはできないか。 だったらさ、俺たちがテレポートみたいなアイテムでここに直接連れてくればいいんだよ。 ほら、セントラル島はエラド地方に含まれてない。直接ここに来れば高橋さんたちの管轄外だ」 依菜は確認する。 「えっと、私たちがクリアした後で教えるってことで良いんだよね……?」 「違う。もういっそのこと、俺らの攻略の手伝いをシャドーに提案するんだ」
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