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啓祐ははっきりとそう言った。
しかしこれでは、隆二が先ほどから頑なに断ってきた「シャドーからの協力依頼」を、逆にこちらからすることになる。
「おい、だから言ってるだろ。こっちから頼むなんて本末転倒だ。勢力に協力するなんて……」
「隆二、あいつらはもう、勢力じゃあないんだ。俺らが魁斗とジョンに協力を依頼するのと同じ」
「いや、それは話の次元として違う」
「そうだな。もっと上の次元の話だ」
「お前なぁ、屁理屈は……」
「これがうまくいけば、暗号を解いた先に進めることと、セントラル島の攻略が有利になる。あの人たちは絶対に戦力になる」
「本当にいいのか?シャドーはゲームクリアのレースから脱落したんだ。
それなのに、あいつらが自力で絶対にたどり着けない攻略を提供することで、またゲームクリアのレースに復活しちまう」
「そうだ。でも、パラレルワールドに情報がいくよりかは、よっぽど先を越される心配はない。
それにこっちはもう仲間を一人失ったんだ。
俺はさ、もうこれ以上誰も欠けて欲しくない。少しでもクリアする確率上げるのに、シャドーの手を借りるのは有りだと思う」
「魁斗たちは良いのか?」
隆二は思い出したかのように二人に聞く。
大人数で群れることを特に嫌いそうな彼らからは、否定的な意見が貰えると考えた。
魁斗はタバコに火を付ける。
「どっちでもいい……ってか、どうでもいい。
元々啓祐主導のイベントに、俺が口出しする権利はねぇと思ってる」
てっきり「俺らだけで十分だ」と言われると思っていた啓祐にとっては意外だった。
「だけどな、啓祐。シャドー全員が天宮クラスじゃあねぇ。
人数が増えれば、向こうにだって犠牲者が出る可能性が出て来るんだ。
俺ら以外の奴らが死ぬことは平気だなんて言わないよな?」
「わかってる。その辺の難易度のことはしっかり話す。
その上で、覚悟のある人とだけ攻略をするんだ」
隆二は観念したように頷いた。
「……わかったぜ。なら、交渉は啓祐に任せた」
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