エルセルム

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啓祐が優希に電話をかけると、優希は少ししてから出た。 啓祐と隆二はすぐに謝罪すると、優希はすんなりと許してくれた。 『ううん。別に良いんだよ。ごめんね、私、自分の状況も考えずに電話しちゃって』 「いや、優希が謝るのはおかしいって」 それには依菜も頷く。 「そうだよ。優希ちゃんは別に何も悪くないのに」 啓祐は改めて優希に訊ねる。 「あのさ、さっきの話の続きだけど、お願いってなんだった?」 『あ、うん。いいのかな? 実はさ、ちょっと困ったことがあって、啓祐君にしか頼めないんだよね』 「俺だけにしか頼めないって、そんなことあるか?」 『あのさ、結構前だけど、啓祐君ってギターが得意だって言ってたよね?』 「ギター?優希に話してたっけ?」 『うん。言ってたよ。私、あの時の事よく覚えてるもん。 それでさ、そのことでお願いがあるの』 「え?」 『イベントの都合上、どうしてもギターが上手い人が欲しくてさ』 その言葉から、啓祐は様々なことを想像した。 イベントにギタリストが必要とあるならば、彼女らがギターを所持している可能性がある。 「それって、どんなイベント?」 『えーっと……別にキーアイテムに関わるようなものじゃないと思うけど、私たちにとっては大事かも。今はどんな小さなイベントも失敗できないから。 お礼は必ずするし、もし暇だったらどうかなって』 「わかった。一旦切っていい?すぐに返事する」 『うん。もし嫌だったら断っても大丈夫だからね?』
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