愛実の詩

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作業着のポケットに忍ばせた携帯が今朝はやけにずっしりと重たく感じる。 この大袈裟なストラップは少し外した方がいいかも知れない。 これまで気に掛けた事も無かったポケットの膨らみがやけに気になり、何度も手を伸ばしてはそこをまさぐる。 憂鬱で仕方が無かった。 胸に支える黒い塊が異物となって残っているようで、ずっと気持ちが晴れずに居た。 詩を投稿してから、私はただの一度も携帯を開く事が出来ずに居る。 ひたすらに開けたり閉じたりを繰り返しながら悲観的にため息をつくばかりだ。 自分の周りをバタバタと駆け足で慌ただしく従業員たちが行き交う。 昼間際の最も忙しい最中(さなか)であると言うのに、どうしても意識は携帯の中ばかりに向いてしまう。 「ちょっと佐々木さん!!何ボーッと突っ立ってんのよ!!ちゃんと手を動かしなさいよ!!」 「……あっ、はい」 気の抜けた返事を返し、尚も惚けたようにポケットの中をまさぐり続ける私を、皆が手を止めて奇異な眼差しでジッと見詰めている。 だが、私は自分がそんな視線の中に晒されている事すら気付きもせず、ただぼんやりとその場に立ちすくんで居た。
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