愛実(アイミ)と言う名の本当の私

2/9
前へ
/267ページ
次へ
長い長い一日がようやく終った。 なだれ込むようにソファーに横たわると私は今日も携帯を開く。 某携帯小説サイト… 此処にはもう一人の私が居る。 多くの読者から羨望の眼差しを注がれ、いつしか「癒しの天使」と呼ばれ愛でられる「愛実」と言う名の私がいる。 『愛実さんの優しい言葉に癒されます』 『愛が実る…貴女の詩は貴女ご本人のようです』 『失恋しました。でも、愛実さんの詩を読んで元気もらいました』 日々惣菜屋の厨房の中で油の匂いに塗れ、同僚の嘲笑に晒されながら働く私にとって、此処は唯一の楽しみであり心の寄り処だ。
/267ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2249人が本棚に入れています
本棚に追加