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『愛実です。私の詞に温かなメッセージを有難う!嬉しくて嬉しくて何度も読んじゃいました。本当に有難う』
何十人もの本棚に飛んでは『愛実です。読んでくれてありがとう』と書き込みをして回った。
その読者の本棚に掲載された作品があれば、短編を選んで丁寧に目を通し、必ず感想コメントを添える事も忘れない。
眠らない夜が明け、閉じられたカーテンから日差しが差し込み薄汚い部屋を照らし出す。
「ありゃあ、朝になっちゃった。この部屋にも、こんなに陽が入るんだぁ」
殆ど一睡もしていないと言うのに、この身体の軽さは一体どうしたものだろう。
鼻歌を唄いながら、私は重苦しいカーテンと窓を一気に開放った。
両手を広げながら冷たい早朝の空気を胸一杯に吸い込むと、まるで生まれ変わった自分になれたような気がした。
生きる灯。
そう言えば大袈裟だと笑われるかも知れない。
そこに書き込まれる多くの言葉は、所詮文字の羅列だけであって、決して私自身に寄せてくれるモノではない。
「佐々木信子」と言う生身の人間に贈られた真実の声では決して無いのだ。
本当の私なんて誰も知らない。私だって、この者たちの事など何一つ解ってはいない。
それでも凍えそうな自分の心に、ポッと点った灯(ともしび)には違いない。
それは今日一日を、何とか生きて行く為の十分過ぎる程の温もりだった。
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