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「今、僕の事気持ち悪いって思った?誤解しないでくれ。別に疚しい気持ちでアカネさんを見ていた訳じゃないから」
「気持ち悪い」
私は吐きつけるように捨て言葉を残し、手提げ鞄を持ってそそくさと教室を出ようと、足を速める。
「Θなら、僕が持っているけど?」
ぴた。
私の足が止まった。
Θという単語が、私の手を掴む。
「何を言ってるの?十六夜くん。あなたみたいなおとなしい人が、Θを?」
私は振り返り、机の上に膝を立てながら座る十六夜くんを直視する。
彼は、言った。
「うん」
オレンジ色の夕日と
彼の屈託無い笑顔が
重なって
まぶしい。
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