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「……不思議だよ。アカネさん。自らすすんでΘが欲しいだなんて」
やっぱり。十六夜くんも、Θの魅力に気づいていない。わかってない。
「私、何をやってもドジばっかりでね。あなたみたいに頭の良い人には、私の気持ちなんかわからないんだよ、きっと。私、神様が作ったこの世界が大嫌いなの。わからないよね」
「そんな事無いさ」
十六夜くんの真剣な眼差しが、私を貫くかのように。私に視線が向けられる。
「僕だって、そうだ」
「だからΘを使って、何もかも忘れたくて。この世界の裏側に有る、違う世界に入り込むんだ」
「空想と幻惑、悲憤慷慨のΘの世界へ、精神の世界へ。飛び込むんだ」
「アカネさんも。そうでしょ?Θの世界へ逃げていきたいんだよね……」
私は
泣いていた
十六夜くん
私は……
Θの世界に行きます。
裏側の世界
空想と幻惑
悲憤慷慨の世界へ……
もう
私は戻れない。
裏側の世界から
表の世界に戻る事は
……ほぼ、不可能だから……
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