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次の日の5時限目、退屈な数学の時間。ちんぷんかんぷんな数式が並べられた黒板。見ていて気持ちが悪くなる。
俺は先生の死角となる机の中で、携帯電話を取り出し、いじくる。
綾香にメールでも送ろうかと思ったが、あいつは勉強熱心だからな……迷惑になりそうだから止めた。
代わりに、『奴』にメールを送ってみようと、昨日コピーしたメールアドレスを打ち込み、メールを作成する。
なんて送ろうか、少し迷ったが、所詮は暇潰し。適当でいいさ。
俺は「お金が欲しいです。」とだけ打ち込み、転送した。ああ、何だかドキドキしてきた。なんて返ってくるのだろう。
ヴヴヴ
数分後、ポケットの中からのバイブが、俺に『返信』を気づかせた。
「まずは名前、性別、年齢を明記してください。話はそれからです。」
おおお……
何だか本格的。
面白くなりそうだ。
「名前は『松下 キャサリン』。性別は女。年齢は46歳です。」
物凄いデタラメな情報を記載し(キャサリンってなんだよ)、どのような対応をしてくるか、期待の念を込めて、送信した。
ヴヴヴ
「成る程。名前は『板橋 洋介』。性別は男。年齢は17歳の現役高校生か。」
は?
なんで?
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