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『板橋 洋介』は俺の本名だ。しかも、性別はともかく年齢まで合っている。偶然なんかでこんな事が……有り得るのか?
額から一筋、冷や汗が垂れ、頬をゆっくりと伝うのを感じる。携帯電話を握る手にも、ぬるりとした嫌な汗が。
ヴヴヴ
「うわっ」
いきなりの携帯電話の振動に、思わず声が出てしまう。
……危なかった。
誰にも気づかれなかったようだ。みんな、授業に集中している。大丈夫。ばれてない。
俺は安否を確認すると、すぐに携帯電話を開き、着信メールに視線を移す。
「驚いている顔が目に浮かぶよ、洋介くん。キミは今、『何故俺の名前、年齢を知っているんだ?』とでも思っているだろう。なに、タネを明かせば簡単な事だ。
洋介くんの学校では『連絡網』として、携帯電話の番号・メールアドレスを担任の先生に教える決まりになっているだろう?それが記載されているデータフォルダをハッキングして遊んでいてね。生徒全員の情報を覚えてしまった。メールアドレスを見て、すぐに板橋洋介のものだとわかったんだ。
何回かサテライン室のPCが全てフリーズした事があっただろう?あれ、僕の仕業。暇潰しにウイルスをサーバーに流し込んだんだよね。あはは。」
……覚えていた?
嘘だろ?
この学校に居る、五百人近くの生徒の中で
『俺のメールアドレスを見ただけで、俺と判断した』?
……嘘だろ?
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