電撃の網(前編)

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「あまり好きではないんだけどね。こういう脅し紛いな武器の使い方は」 Hは独り言のように呟きながら、電源の入ったスタンガンをまじまじと見つめる。 俺は黙り込み、Hを見つめる。 「見ての通り、このスタンガンには高圧電流が流れている。少しでも触れたら即死してしまう程の、改造された殺人兵器だ」 「地面は水を含んだ芝生。そこにこいつを投下すれば……範囲内に位置するキミは電流が心臓、肺、至る所の臓器を死滅させ、気化された血が赤煙となり、口から放出され、死ぬ」 こいつ、俺を殺すつもりで……ここに呼び出したのか? 一体、何の目的で……。 「H、お前……何が目的だ」 「次、一歩でも下がったら投下する」 どき。 バレた。 「最初に話した通りだよ」 「僕の『依頼』をこなしていただきたい」 まるで悪党のような薄気味悪いニヤニヤした表情を見せるH。 ……俺は一体、なんて事に巻き込まれてしまったんだ。
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