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僕はこの子を知らないが、多分違うクラスの生徒だろう。
学校指定の制服を着ている事から分かる。
変な奴だ。
白髪なのも、何だか気になる。
しかしまあ、とりあえず
「そこ、僕の席なんだけど」
邪魔だ。
「嫌だ。邪魔しないで。私、今忙しいの」
窓に顔を向けたまま、表情一つ変えずに返答する少女。視線は校庭のグラウンドに向けられている。
何かを見ているのか?
僕は気になり、同じように視線をグラウンドに移してみる。
猫が居た。
体毛が赤い。珍しいな。
違う。
血だ。
血まみれの猫が、グラウンドに静かに横たわっていたのだ。
首が変な方向を向いている。
猫は、死んでいた。
「多分、車に轢かれたんだよ。アハハ。私はあんな風に死にたくないね。気持ち悪い」
少女は笑う。
長い白髪に隠れた素顔は、なんだか妖艶で美しかった。
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