プロローグ

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早朝六時。 起きて一番、冷水で顔を洗う。 それから鏡とにらめっこをし、まだ寝惚けた頭で乱れた髪を整える。 最近は髪を逆立てるスタイルが流行りのようだが、飽くまでナチュラルヘア。 黒髪万歳。 「……」 それから、目より下に散りばめられた無数のモノを凝視する。 その様はまるで、天の川に煌めくお星さまのようだ。 唸る。 爪で掻いてみる。 …まったく、これで取れたらどんなにいいことか。 ため息。 綺麗好きな彼にとって、これは許せない。 自分自身の顔に許せない。 忌々しい。 あな忌々しや、憎しみたぎる“そばかす”。 ―――毛利結城。 十六歳。 身長百七十センチ前後。 整っていて、爽やかな顔立ち。 しかし、そばかすに少々のコンプレックスあり。 今年の春、無事進級。 今をときめく、青春全開の高校二年生。
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