プロローグ

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結城の部屋とはうって変わり、随分と女の子らしい部屋。 多くのぬいぐるみが、ところ狭しと並べられている。 「起きなさーい、優ちゃーん」 呪文を唱えるかのように。 まるで天使を彷彿させる、妹の無垢な寝顔。 マシュマロみたいな頬を、汚れた人差し指でつっついてみる。 優はくすぐったそうに表情を歪め、口をすぼめる。 「…んん」 反応の面白さに、口に手をあてて笑いをこらえる結城。 この一連の様子をはたから見れば、完全にただのロリコンだ。 …でも違う。 結城にそんな性癖はない。 これは、ただの腹いせである。 結城の通う高校はなかなか遠いため、必然的に朝早くに起きなければならない。 だが小学六年生である優の小学校は、自宅から徒歩十分程度。 よって、現在時計の針は七時を回ろうとしているのに、すやすやすやすやと優雅に寝てますわこれ。 結城は、それがどうにも腹立たしかった。 故に、腹いせ。 ……結論。 ただ大人げないだけ。
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