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部屋を出る際、結城は思いついたように一度振り返る。
そして再び寝入った優の顔を見て、微笑む。
「おはよう、優」
階段を降りて一階へ。
洗濯機の上に置かれたかごの中に、優の下着を投げ入れた。
このかごが一杯になった時、洗濯機を回す。それは、毛利家の決まり事のひとつであった。
キッチンの近くに歩み寄ると、味噌汁の匂いが鼻孔をくすぐる。
キッチンに侵入すると、結城より頭一個分以上小さいエプロン姿の女性がいた。
「おはよー、少年」
柔らかいトーンの声。
「おはよう、麗花さん」
軽い挨拶を返す結城。
すると麗花と呼ばれた巻き髪ヘアーの女性は、不満そうに頬を膨らませる。
「“麗花さん”はダメ!
お母さんと呼びなさい!」
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