プロローグ

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遥か悠久の時を刻んできた、ヨーロッパのとある場所に密かに存在している孤島。 刻んできた時と共に島の名も消えていってしまったが、その島にはある機関の本拠地がある。 機関の名は、ノア。この世界の裏に存在するとされる虚無の世界からの現世介入、つまりはこの世界の滅亡を阻止するために結成された機関だ。 地上都市アースリィホームに個々人は住み着き、地下空間フィルグラディで来たるべき戦いに対する準備を行っている。 だが、彼らの戦いの舞台はこの世界ではない。一の空間には一の世界しか存在できないように、この現実世界に虚無の世界が直接介入することはできない。両者にとって重要なのは自らの世界の保全だ。自らの世界を破滅に導く真似はしない。 その戦いのために用意された舞台が、虚無側の宝具、第三の狭間の空間、漆黒の空だ。 時間という概念のない世界である虚無が、時を刻み続ける現実世界に介入するための唯一の手段であるこの空間では、時が進むことはない。 それこそが狭間と称される所以だ。 この空間で動ける者は、戦士であるノアと、虚無側の戦士である時変者のみ。 それゆえ、現実世界に生きる大半の生命は、この壮大な戦争のことを知らずに生き続けてきた。
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