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特に何事もなく質問攻めや学校案内が終わり一段落ついていたところ、ある少女が視界に入る。朝話した不思議少女だ。これは運命なのか。
「彼女の名前なんて言うの?」
隣の席の真壁に聞く。
「ん?もしかして気になんの?」
「まぁ間違ってはいないけどさ、たまたま朝彼女を見かけたからさ。話し掛けたら案外優しい人だったし」
嘘を織り交ぜ話に脚色を加える。理由は特にこれといってない。
「へぇ……そうなの」
どうやら信じていない様子。だがここで「嘘じゃない」と言っても逆に怪しまれるだけだ。
「そうなの」
ちらりと自分の席で本を読む彼女を見た後、真壁は言った。
「あいつの名前は五月雨 小子(サミダレ ココ)。通称『傘女』だよ」
「『傘女』?」
「そ、『傘女』。いつも傘を差しているからそう言われてる。噂というかほぼ事実なんだけど、彼女が傘を閉じたら雨が降ってくるんだよ。だから外にいる時はずっと傘を差しているって俺は聞いたぜ。まぁ信じるも信じないもお前次第ってわけだけど」
「『傘女』……ねぇ……」
にわかに信じがたい事だがシリアスな表情をした真壁の言葉は嫌に説得力があった。
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