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「これ、神田部長にお願い。」
「了解です。」
今は極力、顔を合わせたくない・・・。
今は仕事中で公私混同なんて私らしくない。でも自分の気持ちが抑えられないなんて久しぶりだった。
事務所を出ようとする山田君を呼び止めた。
「あっ!山田君!それ届けたらお昼にして良いからね!」
「うぃーす!」
我社では部下、後輩は呼び捨てか、男性は君、女性は君かさんである。
一度、息を抜いて自分に喝を入れた。やる事は山程ある。12時には次の打ち合わせがあるため、それまでに神田部長に回せる物は回して、再チェックが必要な物はもう一度、担当に渡す。
ちらっと顔をあげて笑いながら言った。
「他の皆もキリの良い所でお昼にしてよ。でないと、私が打ち合わせに出掛けられないわ。」
上司に気を遣って食事へ行けない、なんて思われても困る。
「じゃ、お先お昼行ってきまーす。」
「はい、行ってらっしゃい。」
ホワイトボードの予定表に私は12時に隣のビルで食事を兼ねた打ち合わせがある。どこの会社も、企画、営業、広報、経理、総務、生産の足並みが大事でもある。
私は営業と言ってもただ物を売り込むだけではない。
企画の発案や宣伝方法も考えれば資料も作るし、見積もりも作れば生産原価も考える。
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