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「王!新しく宮廷に仕える者を連れて参りました!」
一人の役人らしき者が立派な扉の前で叫んだ。
「入れ。」
中から男の声がそう言った。
役人らしき男は断りを入れ、扉を開いた。
赤い長い絨毯が敷いてある。その絨毯の先には三段の階段があり、その上には立派な椅子があって、その椅子にどっしりと王冠を被った男が座っていた。
役人らしき男は階段の前でしゃがみ込んだ。
役人らしき男の後ろで同じようにしゃがみ込んでいる長髪の女性がいた。
「鋳千(ちゅうせん)、その者は?」
鋳千と呼ばれた役人らしき男はしゃがみながら、
「はいっ!新しく宮廷に仕える事になりました名を姐己(だっき)といいます。」
鋳千がそう言うと姐己は立ち上がり鋳千より前に出て、
「姐己と申します。主に食事を配膳致します。」
と言った。
姐己は非常に美しく、その凛々しい瞳で王冠を被った男を見つめた。
「私が紆王(ちょうおう)だ。姐己よろしく頼んだ。」
「はい…ではこれにて失礼致します。」
姐己は後ろを向き、ニヤリと笑い、部屋を出た。
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