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誰もいない静かな廊下を姐己は歩いていた。
「あの紆王とか言う者、この国で最もな権力者だと見える。奴の后にさえなれば……」
姐己がそんな事を呟いていると、
「姐己!手伝って!早く早く!」
妙齢の女性が姐己を後ろから呼び止めた。
「あっ!はい。今すぐ行きます!」
「言っとくけど結構この役きついよ、私も慣れるまで結構かかったから。さっ行くよ!」
女性は姐己の手を掴み、引っ張る形で厨房に連れて行った。
外もすっかり暗くなって来て、紆王と一人の綺麗な女性は大広間にて豪華な食事を堪能していた。
踊り子達が綺麗に舞っている。
紆王の隣に座るその女性は実に満足気にそれを見ていた。
食事も終わり、紆王と女性は二人並び、大広間を後にした。
姐己達が後片付けしていて、姐己はさっきの女性の事を妙齢の女性に聞いた。
「あぁ、絽杏(りょあん)様の事?彼女は紆王のオ・ン・ナよ。綺麗で賢くて何でも出来る。憧れよね~」
妙齢の女性は目を輝かせ言った。
「…そうなんですか…そういえばまだ名前を聞いてませんでしたね。」
「ん?あぁそうだったわね。私は、夢余(むよ)っていうの。」
「夢余さん。ですね?分かりました。これからもヨロシクお願いします。」
「ヨロシク、姐己ちゃん。」
その後片付けが終わり各々は自分の部屋へと向かった。
夜が更けていく。
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