折り合い…。

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不思議と、涙はでなかった…。 こんなにも、人を好きになり、愛おしく想ったのは、初めてだった…。 今まで、咲にも恋人が幾人かいたし、 自らの気持ちを打ち明けて、失恋した事だって、初めてではない…。 でも、こんなにも自分の気持ちを伝えたい、想いがいっぱいで、口元から溢れそうになったのは、二十一年間生きて来て初めての経験だった…。 だから、そう想った時に、何の躊躇いもなく 震える指で、彼の電話番号を押していたのだった…。 そして、昨日の夜の結末を迎えるのだった…。 咲自ら、幕を退いたのだ…。
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