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いつもは、バイトが終わったらすぐ帰るんだけど、その日は雨も降ってて、お客さんが少なかったからいつもより早く片づけ終わってたんだ。
「マスター、申し訳ないんですけど、私一応受験生なんで、今月いっぱいでバイト辞めさせて下さい」
ガバッと頭を下げながら言った。
マスターは携帯をいじっている。メールかな?メール送るような相手いたんだ。
「お前、いつも急だよな?働かせて下さいっていきなり言ってきたし…。まぁでも、仕方ないか、バイトのせいで受験失敗したって恨まれても困るしな、分かった。でも何で今月いっぱいなんだ?」
なんだろ?大の大人が携帯いじりながら人と話すってさ、どうなんだろ…。
「あ~来月から、放課後補習が始まるんですよ…。」
本当は終業式の日に担任が言ってたんだけど、失恋のショックで忘れてたなんて言えない。
「ふ~ん、でも、お前補習受けなきゃならん程頭悪かったのか?」
可哀想な人を見るようにみないで下さい。いい加減携帯ボチボチやるのやめて下さい。
「違いますよ!失礼なっ。これでもずっとトップをキープしてるんです、補習は全員なんです。」
ちょっと必死になって言った。
マスターはさも意外だと言わんばかりの顔をしている。
「お前、確か清廉だったよな?」
まだ信じてない様子だ。もう帰ろう…。
私はため息をつきながら言った。
「そうですよ清廉です。マスター、私帰ります、お疲れ様でした」
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