更なる悲劇

6/8
前へ
/92ページ
次へ
ボーッと紫煙のくゆる煙草を見つめていると、不意に絹を裂くような女性の悲鳴がこだました。 雄介は久しぶりに悲鳴を耳にした気が付きするが、空腹と精神的、肉体的な極度の疲労からか、あまり気にする様子は示さなかった。 しかも、地震が起こってからというもの、法が崩壊したのを良いことに恐喝、窃盗、強姦、はたまた殺人まで犯す輩が出てきたのである。 またその類だと思もったのだろう。 自分の身を守るので精一杯。他人を助ける余裕など持ち合わせていなかった。
/92ページ

最初のコメントを投稿しよう!

388人が本棚に入れています
本棚に追加