盗賊のお仕事

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レイジのナイフの刀身が晒される。 最初それを見たヒリエは驚いた。 薄く白い刀身は透き通って向こう側が見えている。 そのナイフが金属でできていないのは明らかであった。 皆が首を傾げる中、グリュートだけが納得した顔をしている。 グリュート 『なるほど。 その獲物なら魔人を殺せるのも頷ける。』 ヒリエ 『なるほどって、グリュート王にはあのナイフが何で出来ているか分かるのですか?』 グリュート 『分かるさ。 俺のドラグスレイヤーと同じ材料だからな。』 ヒリエ 『ドラグスレイヤーと同じ? という事はまさか竜の牙!?』 グリュートの言葉によって弾き出した答えを自分で口にしながら驚愕の表情になる。 通常ドラゴンという種族は魔人と同じく普通の武器では傷を付ける事は出来ない。 単純にドラゴンを覆う鱗の硬度が硬いためだ。 武器一つでドラゴンに立ち向かうにはミスリルやヒヒイロカネ、オリハルコンといった神秘金属という希少な金属で出来た武器でなければ倒す事はままならない。 だが、稀にではあるが金属製以外の物でもドラゴンの鱗を切り裂ける物がある。 グリュートが持っているドラグスレイヤーもそれに当たる。 材質は竜の牙。 現状、おそらく生物の中では最も硬度の高い牙。
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