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グリュート
『だが、それだけじゃねぇな。
その牙"生きて"いるな?』
何ともなしに出した言葉に謁見の間は騒然とする。
ヒリエなんかはさっきっからアホみたいに口を開きっ放しで呆然としている。
レイジ
『よくお分かりで。』
苦笑と共にレイジはグリュートの言葉を肯定する。
グリュートの言った牙が"生きて"いるというのは材料を摂取したとき死体から牙をはぎ取ったか生きたドラゴンから貰い受けたかの違いにある。
死体からはぎ取った牙でも十分に切れ味もあるし、世間一般の市場で取り引きされているドラゴンの牙というのは主にというか殆どがこちらである。
それに対し、生きたドラゴンから貰い受けた牙、グリュートが言うところの"生きた"牙は通常の死体の牙よりも遥かに切れ味や丈夫さも優れている。
何よりも凄い所は魔法媒体としての優秀さだろうか。
通常、魔法というのは呪文を唱えて杖(魔法媒体)で増幅して放つというのが一般的である。
ドラゴンの牙はそれだけで通常の2~3倍は増幅するがそれが"生きた"牙となると威力は計り知れない。
これだけのお得機能を備えた"生きた"牙、実はドラゴンから認められて貰い受けた本人にしか効果は発揮せず、他人が使っても普通の牙かそれ以下の物となってしまう。
とは言っても普通のドラゴンの牙1本で5代は遊んで暮らせる程の値段で取り引きされている品物なのだが。
何にしても"普通"の盗賊が持っているべき物ではない。
魔人を倒しちゃった時点で普通とは言い難いんだけど。
グリュート
『ま、お前さんの武器はよく分かったからいい。
さてここからが本題だ。
よくぞ我が娘を魔人の毒牙から救ってくれた。
国王として、一人の父親として感謝する。』
王自らが頭を垂れて感謝の意を示す。
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