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そこにある顔は逞しくも一つの国を設立させた国王ではなく、愛娘が生きていた事にただただ安堵する一人の父親の顔があった。
筈だった。
グリュート
『もし、娘に、ルナに何かがあったら………』
段々とグリュートを取り巻く空気がおかしくなる。
具体的に言うなら最初は厳粛な雰囲気だった。
でも今は……
グリュート
『城中の役立たずの兵士という兵士を片っ端からぶっ殺してルナに手をかけようとしたその魔人もぐちゃぐちゃのぐちゃになるまで細かく細かく細かく切り刻んでそれでも憤りが収まらなかったら無意味に近隣諸国に戦争を仕掛けて制圧してるとこだった。』
レイジは黙ってその言葉の羅列を聞いていた。
もし、レイジが少女を救えなかったらかなり大変なイベントまで発展してたらしい。
レイジの目の前にいるのは最早国王ではなく、娘を心配し過ぎてちょっと行き過ぎたお父さんだった。
グリュート
『全く、ウチの娘に何かあったらただじゃ済まさねぇ!
ウチの娘はな「月光姫」と呼ばれる程可愛くて生まれた時はそれはもうめちゃめちゃ可愛くてああいや成長した今は更に可愛くて目に入れても痛くないとはああいう事を言うんだなといっても気合いを入れれば実際それぐらいの事は出来るっつうか娘のためならこの命―――』
行き過ぎ具合はちょっとどころでは無いっぽい。
天はきちんと見ていたのだ。
『天は二物を与えず』
目の前のおっさんは完璧なる親バカだ。
そしてその親バカっぷりは標準値のメーターを振り切ってメーターそのものを破壊するくらいの凄まじさ。
親バカっぷりは尚も続く。
グリュート
『―――最近は余所の国から御見合いの話なんかが来てるがそんなん俺が許すかってんだルナはちっちゃい頃から『大きくなったらととさまのお嫁さんになる』って言ってたんだ誰にもやるものかそれにだな(中略)って事もあってルナも最近はますます綺麗になって来ていて』
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