盗賊のお仕事

22/32
前へ
/156ページ
次へ
ヒリエ (う~む、やっぱりこうなってしまいましたか。) 爆弾発言で戸惑う人達をよそに、ヒリエは一人心の中でため息をついた。 レイジがルナを助けた瞬間から何となくこうなるんじゃないかと予感めいたものを感じ取っていた。 ヒリエにしてみれば自分を救ってくれた人物に頬を染めるなんてそれくらいしかないだろうと。 今までろくに御見合いもせず(させられず)男というものをよく分かっていない少女が颯爽と現われた男に助けられるなんて特殊なシチュエーションに耐えられるはずもない。 これでレイジが不細工だったなら話は変わるのだが、いかんせんレイジはカッコいい部類に入る方だろう。 麗人とまではいかないが黒髪の下に隠れるやや鋭い目付きや筋肉の付き過ぎていない細身の肢体は美しいと言うよりカッコいいといった方が正しい。 年頃の娘なら見惚れるだろう。 だが、いくらレイジがカッコよかろうが一国の姫が一人の盗賊に心を奪われるなんて、ましてや姫の父親は極度の"親バカ"だ。
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13207人が本棚に入れています
本棚に追加