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そんな少女の反応を見てレイジも悪い気はしない。
なにしろ相手は「月光姫」と近隣の国でまでその美しさを噂される美少女だ。
そんな可愛い娘が自分を相手に顔を見るだけで頬を染めるのだ。
だいたいの男なら手放しで喜んで少女の告白に『喜んで』と返事する事だろう。
だがレイジはこの状況を多少嬉しく感じてはいるもののどちらかといえば困惑の感情の方が勝っていた。
相手はお姫様、対する自分は庶民の出の盗賊。
身分が違い過ぎる。
そう考えると段々と冷静さを取り戻していく。
そして二人の間にはとてつもない障害が一つある。
レイジはルナに手を握らせた体勢のまま万が一『はい』と返事した時の「障害」へと目を向ける。
「障害」はさっきの娘の一言でまだ固まったままだ。
が、「障害」ことグリュートと視線が合う。
ときに世の中には「目は口程にものを言う」という言葉がある。
いままさにグリュートは視線の合ったレイジに目で語っていた。
『てンめぇ、俺の娘に手ぇ出したらどうなるか分かってんだろうな!あ!?』と。
語るというより脅迫といった方が近いかもしれない。
実際に言葉が合ってるかどうかは分からないがグリュートの視線に込められた殺気的にだいたいそんなニュアンスだと思われる。
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