13207人が本棚に入れています
本棚に追加
レイジ
『姫、真に残念なんですが…』
とここで一息溜めて言葉を続ける。
レイジ
『身分の違う俺ごときが御身を頂く事は出来ません。
どうか別の人をお探し下さい。』
ルナ
『………?』
最初、ルナはレイジの言った事が分からず脳がフリーズ。
ルナ
『……えっ?』
やがて再起動した脳に言葉が染み渡りはっと目を開くが時すでに遅し、すでにそこにレイジの姿は無く絶賛全力逃亡中だった。
そこから数秒経ってようやく人生の伴侶にと心に決めた相手がここにいない事に気付く。
呆然としている娘を見てグリュートは内心ホッとしていた。
あの場で肯定の意味を示す返事をしたら娘の見ていない所での暗殺計画を脳内で企てていたためである。
ちなみにホッとしたのは殺さないですんだからではない。
ルナがレイジに本気だった場合(グリュートは死ぬ程認めたくはないが)ルナが落ち込むだろうからだ。
よかったよかったと玉座から腰を浮かそうとした時だった。
ルナ
『……ふふっ……』
グリュート
『んっ?』
最初グリュートはルナが肩を震わせて泣いているのかと思った。
が、それは違った。
グリュート
『っ!』
ルナ
『ふふふふふっ……』
肩を震わせていたのは泣いていたからではない。
ルナは笑っていた。
最初のコメントを投稿しよう!