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レイジ
『はあっ!?
ちょ待っ、武器ぃっ!?』
急いで兵士のいない方へ駆け出す。
頭の中では先程の武器を持った兵士達の姿が反芻される。
ただ捕まえるのに軽い片手剣はまだ納得がいく。
だがしかし、普通暴徒や逃走犯相手に両手でなければ扱えないようなハルバードやトゥハンドソード持ち出さないのでは?
はっきりと見たわけではないが一人か二人、何か魔法剣のようなものまで持ち出していたような。
そのレイジが見たかも?と思った事は正しく、正確には後ろから追いかける兵士のうち3人程が魔法の付与された武器を携えている。
本来それらの武器は人間相手にはあまり使われずもっぱら使う相手は凶暴なモンスターである。
兵士
『逃げたぞ!
者共逃がすな~!』
しかも気合いが入っていた。
何故そんな物まで持ち出したのか?
答えは簡単。
兵士達は嫉妬していたのだ。
最初は虫も殺せぬような優しく内気な姫の突然の命令に皆困惑した。
だがしかし、追いかける中で皆が思ったのだ。
なんでアイツだけ?
と。
実はグリュートの見えない所でアプローチをする兵士は後を絶たなかった。
皆が皆「月光姫」に夢中だったのだ。
しかしそのどれもにルナは良い返事をしなかった。
だというのにレイジには口説かれるどころか自分から『貰ってください』なんて言い寄る始末。
今現在に兵士達の心の内にあるのは
とりあえずシメる
その際に争いになって死んじゃっても事故という方向で
そんでそんであの男(レイジ)が死んで姫が傷心のところを俺がっ!
といった思惑が渦巻いていた。
ついでに言うと追いかけているのは全員男で『褒美?ンなもんいらねぇ!それより姫がほしい!』と誰一人として姫の前に連れて行こうとしてる人間もいなかったりする。
男の嫉妬って怖いなぁ。
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