逃亡者

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メイドさん。 もう一度言おう。 メイドさんである。 何故かミニスカだったり語尾が変だったり猫撫で声で喋ったりする一部男子理想像の変わったメイドではない。 極普通の一般的なメイドさんがそこにはいた。 ただ、このメイドさん暗闇から現われた上に姿を晒した後、微笑むでもなく睨み付けるわけでも無く閉じた瞳と無表情の顔をただレイジに向けるのみ。 感情が読めない所が逆に怖かったりする。 メイドさんがレイジから一定の距離、1メートルくらいの場所でピタリと立ち止まると無表情のまま澄んだ声で言った。 『お迎えにあがりました。 レイジ・グランド様。』 メイドさんの言葉にレイジは眉をしかめ低い声で答える。 レイジ 『……そんなヤツ知らねぇな。 俺の名前はレイジ・ブラスタだ。』 そのまま二人とも黙り込みレイジはメイドさんを睨みメイドさんはそれを涼しげに受け流す。 その沈黙を先に破ったのはメイドさんだった。 『どうしても姫にお会いになっては下さらないと?』 レイジ 『アイツには悪いけどな。 さ、分かったならさっさと行ってくれ。』
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