逃亡者

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リリ 『そんな事よりもです。』 レイジの様子を見て強引に話題を変更するリリ。 仮にも使用人が主の事をそんな事とか言っちゃっていいんだろうか。 リリ 『今はレイジ様の事です。 貴方は前回の事もあるというのにまたやってしまったのですね。』 レイジ 『うっ、いや、そうは言っても目の前で女の子が襲われてたんだぞ? 助けないわけにはいかないじゃないか。』 苦し紛れの言い訳も。 リリ 『誰も助けるなとは申しておりません。 しかし、物事にはもう少しスマートなやり方というものがございましょう?』 リリにバッサリと切り捨てられる。 このメイド、言葉に全く容赦が無かった。 レイジ 『いや、それは…。』 リリ 『前回は領主の娘を助けた結果、求婚されて町から逃げ出して今度は一国の姫ですか。 追う方の身にもなっていただきたいものです。』 レイジ 『……ごめんなさい。』 人を助ける行為自体は悪くないはずなのに何故か謝るレイジ。 心の端っこの方で密かに理不尽だ、と思う。 リリ 『それで、今回はどうするのですか? また逃げ出すんですか?』 リリにそのつもりがあるのか分からないが言葉の端々に棘を感じる。 何もそんな言い方しなくてもとは思うが口にはしない。 レイジ 『そうしようと思う。 国の外にさえ出ればどうとにでもなるだろ。』 リリ 『それが正しいでしょうね。 なにしろ近い内にクーデターが起こるという話もありますし…』 リリの口からサラッと放たれた単語に耳を疑うレイジ。 思わず聞き返してしまう。 レイジ 『えっ? 何? 今何て言った?』
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