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リリ
『分かりました。
曲がりなりにもわたくしはレイジ様の追手でした。
貴方を追う道すがら貴方のしてきた事はそれなりに把握しているつもりです。
レイジ様は一見どうしようもない程流されやすくその上お人好しのようですが少なくともわたくしが知っている限りの「レイジ・ブラスタ」という方は、ご自分でお決めなさった事を曲げる事だけはしてきませんでした。
今回もどれだけ説得した所で無駄なのでしょう、そこまではわたくしも分かります。
ですが問題はそこから、クーデターの事を知ってそれを解決したいといった所で今のレイジ様にいったい何ができるというのですか。』
言葉のそこかしこに最早隠そうともせずに交ざっている棘に精神的ダメージを受けつつ、そんな事は顔に出さずに考える。
レイジ
『そうなんだよな。
問題はそこなんだよ。』
実際問題として現在のレイジには相当厳しい問題だと言える。
現在レイジは追われる身だ。
城の人間に直接伝えるだけならわざと兵士に捕まって城の中でクーデター云々を伝えればいいだけだ。
レイジ
『仮に、伝える事ができても無駄だろうしなぁ。』
この一言に尽きる。
仮にレイジが何らかの手段を用いて城内の人間に伝えたところで信じてもらうどころか一笑にふされるのがオチだろう。
ましてや国から追われている人間からの情報なら尚更である。
それは目の前のメイドとて同じ事、いきなり知らない人間が来て『これからクーデターが起きます』と言ったところで誰が信じてくれるというのか。
あとレイジは知らないが城の若い兵士達はレイジを捕まえたら殺(や)る気満々なのでそもそも捕まるという手段自体が無駄に終わってしまう。
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