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その者、重犯罪人?につき
この物語の主人公「レイジ・ブラスタ」はいきなりだけども追われていた。
『追え~!
逃がすな~!』
相手は国家権力。
いわゆるお巡りさんである。
レイジ
『やっべ!
つうか時間が経つごとに人数増えてってねぇ!?』
お巡りさんの怒声を背中にとにかく逃げる逃げる逃げる。
わざわざ馬車の行き交う道路を横切ったり、梯子をよじ登って建物と建物の間をジャンプで飛び越えたり、坂道で何故か突然出てきた果物をいっぱい乗せた荷台をひっくり返してお巡りさんを転ばしたりしてなりふり構わず逃げる。
そうしてお巡りさんが混乱している隙に、曲がり角を曲がって建物の中に入り込む。
もちろん、そこは知り合いの家などではなく、住民であろう若いお姉さんが突然の侵入者に目を丸くして驚いていた。
そして当然の如く…
お姉さん
『キャ……もがふが…』
…叫ぼうとしてレイジに右手で口を塞がれる。
レイジ
『しぃ~~。』
懇願するように残る左手の人差し指を口の前に立てる。
と、その効果か別の原因のせいか、レイジの顔を至近距離で見ていたお姉さんは頬をポッとピンク色に染めて押し黙った。
『追え~………』
だだだだだっ
お巡りさんの声が段々と遠ざかっていくのを確認して、ようやく右手を離す。
レイジ
『黙っててくれてサンキュ♪』
バチンとウインクを一つ残して家を飛び出した。
あとに残されたお姉さんは頬をピンクに染めたまま、暫くの間ぼ~っとレイジが出て行ったドアを見つめていた。
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