dear:過去

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dear:過去

  その日、デカいキャリーバックに荷物を詰めた。ワンピース2枚と、歯磨きセットと、タオル…あとは何も入ってない。有り余った隙間。その方が、あたしらしいのだ。   お金はポケット10000円ぽっきり。   スカスカのキャリーバックをガタガタ言わせながら「さよーなら」と誰も聞いて無いはずの声で言った。   前は見えてない。うん。見なくていい。むしろ、今さえ見なくてもいい。高校はどうなるんだろ?家族は心配すんのか?生きていけるのか?なんて最初は思った。   でも、時間が解決してくれる。だから、歩こう。真っ直ぐに、ずーと真っ直ぐに  
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