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セルシアは声のする方を見渡すがマルシェの姿は全く見えない。
マルシェ「……部屋に……入る……時は……、ちゃんと……返事……を……確認……して?」
ゆっくりと途切れとぎれに聞こえるマルシェの声は確かにセルシアが見ている方から聞こえる。しかし、姿は見えない。
セルシアは先程話していたジャンヌの『超空間認識能力』を思い出した。
セルシア「ジャンヌ様?マルシェ様はどちらに居るのですか?」
小声でジャンヌに尋ねるセルシア。
ジャンヌ「……さぁ?」
セルシアはジャンヌの言葉に目を丸くした。
ジャンヌ「確かに私の力は半径25m位ならどんな物があるか手に取るように分かるわ。例え気配を消していても分かるの。無生物でも把握出来るからね。例外はじい~ね。じぃ~みたいに自然に溶け込まれると分かりづらいのよ」
セルシアはじぃ~が誰だか分からなかったがとりあえずジャンヌに聞いた。
セルシア「でしたら、マルシェ様も自然に溶け込む力があるのですか?」
セルシアの質問にジャンヌは『いいぇ』と答えた。
ジャンヌ「溶け込まれてもね、集中して探せば大体分かるの。ただし、マルシェちゃんは全く分からないのよ」
セルシアは唖然としながらジャンヌを見る。ジャンヌは苦笑いしながら続けた。
ジャンヌ「セルシアちゃん。この世界には何もしなくても目立つ人っているじゃない?セルシアちゃんもそうだし、さっきのクロスさん、後……オーシャン君もかな?まぁ、とにかくいるのよ。……じゃあ、逆に《全く目立たない、まるで存在自体していないかの様な存在》もいるんじゃない?」
セルシア「それが……マルシェ様?」
セルシアは恐る恐るジャンヌに聞いた。
ジャンヌ「私は、そうじゃないかって思ってるのよ」
ジャンヌは笑いながら言った。
マルシェ「……ジャンヌ……さん?…………聞いて……る?」
マルシェの問い掛けにハッと前をみる。未だにマルシェは見えないが確かに彼女はそこにいる様だった。
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