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しばらく続く沈黙に耐えきれず、ジャンヌが口を開いた。
ジャンヌ「あっ……セルシアちゃん?フレイヤちゃんと知り合いって事は、アーサー君とも知り合い何でしょ?2人はいつも一緒だし」
時を動かそうとジャンヌは、精一杯の笑顔で話しかけた。確かに時は動き出した……。ただし、動き出したと同時に、セルシアが黒いオーラを纏った。
セルシア「アーサー……あの猿さえ居なければ今頃私がお姉様の隣りに……」
ブツブツ言いながら禍々しく黒いオーラが膨張し続けている。パティがカウンターの裏でガタガタと震えている。……《アーサー》と言う単語をセルシアに話してはいけないと、ジャンヌは心に誓った。
黒いオーラを放つセルシアを止めようとジャンヌはセルシアに聞いた。
ジャンヌ「ねっ、ねぇセルシアちゃん?フレイヤちゃんが何処の村に行ったか、教えましょうか?」
ジャンヌの言葉に黒いオーラを一瞬で消し、『是非!!』と即答するセルシア。
ジャンヌ「えっとね……。エア村って知ってる?隣りの大陸で、ココット村の近くなんだけど……セルシアちゃん?」
話の途中でセルシアがまた固まる……『エア村……』と呟いたと思ったら急に呻き出した。
セルシア「あぁ……何て事……。お姉様の噂を聞き飛び出した《エア村》に……お姉様が……。私は何て愚かな……もうエア村に戻るお金は無いのに……」
ジャンヌは理解した。セルシアは高い旅費を払いエア村からジャンボ村に渡り、結局行き違いになった事を……。
ジャンヌ(ふっ不幸過ぎてフォローが出来ない……)
そう思った時、酒場に村長とドリスが帰ってきた。若干ドリスは疲れた表情をしている。
ジャンヌ「ドリス?どうしたの?」
と、ジャンヌは言った。ドリスは、村長にセルシアの事を紹介しているパティと、笑いながら村長に挨拶するも魂が抜けかかっているセルシアを見ながら言った。
ドリス「いゃ……新しくハンターさんが来たんですけど、ちょっと……いやかなりキモち悪くて……とりあえずリンさんの所に案内しました」
溜め息を吐きながらドリスはカウンター裏に帰って行く。
ジャンヌ「リンさんの所……あっ、そーだ!?セルシアちゃん、今から貴女の部屋に案内するわ
元に!!」
セルシアは『お姉様の部屋!?』と目を輝かせながら生き返った。
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