31144人が本棚に入れています
本棚に追加
蘭丸は弟達と黒人武士に声を掛け明智軍に向かい刀や槍を交わし、また一方では信長の正室帰蝶(キチョウ)が女人衆を率い薙刀(ナギナタ)を振り回している。
緩めた勢いはすでに怒涛の波に飲み込まれ、各方面で乱戦となっていた。
本能寺に光秀本隊が到着したのか、明智軍の士気があがる。
信長はそれを察し大声で叫んだ。
「光秀ー!天下は……天下は主にくれてやる。儂の首、見事討ってみせい!」
光秀にその声は届いた。
(信長様……)
無言のまま軍配を振るい、本能寺に火矢を射かける。
雨のような矢が本能寺に降り注ぎ、各所で火災が発生する。
信長の肘にも矢が突き刺さった。
「ふふ。」
信長は不敵に笑い矢を抜き、弓を投げ捨てた。
「大殿、御首(ミシルシ)頂く!」
「利三か。」
斎藤利三が信長に襲いかかった。
その時、蘭丸が体ごと利三に突っ込む。
「信長様、奥へ!」
最初のコメントを投稿しよう!