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信長は周りを見渡し、無言で頷き奥の間へ向かった。
蘭丸はその通路を塞ぐように立ちはだかり、利三と睨み合い、そして斬り合う。
信長は奥の間に下がり
「ここまでか…」
と幸若を一舞した。
人間五十年……
下天の内をくらぶれば……
夢幻の如くなり……
信長は舞いながらも自身の手が震えていることに気づいた。
「ふふふ、ははは。死ぬのが怖いのか!」
恐怖している自分を笑い飛ばし震える手を御しつつ、小刀を逆手に持ち身構える。
「楽しき人生であった……信忠よ。生き延び儂の夢、見事継いでみせぃ!」
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