一章

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信長は周りを見渡し、無言で頷き奥の間へ向かった。 蘭丸はその通路を塞ぐように立ちはだかり、利三と睨み合い、そして斬り合う。 信長は奥の間に下がり 「ここまでか…」 と幸若を一舞した。 人間五十年…… 下天の内をくらぶれば…… 夢幻の如くなり…… 信長は舞いながらも自身の手が震えていることに気づいた。 「ふふふ、ははは。死ぬのが怖いのか!」 恐怖している自分を笑い飛ばし震える手を御しつつ、小刀を逆手に持ち身構える。 「楽しき人生であった……信忠よ。生き延び儂の夢、見事継いでみせぃ!」
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