31056人が本棚に入れています
本棚に追加
/2630ページ
信長は静かに相づちを打ちながら、真剣な眼差しで聞いている。
「そこで信長殿には汝南を任せてあるのに申し訳ないのだが、袁紹との戦いに参加して貰いたい」
「それは構わぬが、我らとて将、兵が不足気味じゃ」
「そこだ。まず利政とともに劉備残党や在野の士を集めてもらいたい。勿論兵はそのまま信長殿が雇えば良いし、士も貴殿の麾下で良かろう」
「時間もさしてあるまい、明日より取りかかろう」
「うむ。ある程度将兵が集まったら、その軍を率いて、この徐州の北の青州から袁紹を攻めてもらいたい」
「なるほど。陽動に我らを使おうということか」
「ふふ、さすがにさといのう。だが袁紹も兵を集中している ため、この作戦はかなり有効であろう。その課程でもし劉備を見つけたら、劉備の抹殺も頼む」
「了承した。できる限りのことは協力致そう。だが切り取った袁紹領のいくばくかは、我らの取り分として貰い受けるぞ」
「うむ……わかった。袁紹領では飛び地の管理になるゆえ徐州、青州の統治を認めよう」
草木も寝静まる暗闇の中、二人の英雄の密談が進んでいた。
最初のコメントを投稿しよう!