三章

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信長は静かに相づちを打ちながら、真剣な眼差しで聞いている。 「そこで信長殿には汝南を任せてあるのに申し訳ないのだが、袁紹との戦いに参加して貰いたい」 「それは構わぬが、我らとて将、兵が不足気味じゃ」 「そこだ。まず利政とともに劉備残党や在野の士を集めてもらいたい。勿論兵はそのまま信長殿が雇えば良いし、士も貴殿の麾下で良かろう」 「時間もさしてあるまい、明日より取りかかろう」 「うむ。ある程度将兵が集まったら、その軍を率いて、この徐州の北の青州から袁紹を攻めてもらいたい」 「なるほど。陽動に我らを使おうということか」 「ふふ、さすがにさといのう。だが袁紹も兵を集中している ため、この作戦はかなり有効であろう。その課程でもし劉備を見つけたら、劉備の抹殺も頼む」 「了承した。できる限りのことは協力致そう。だが切り取った袁紹領のいくばくかは、我らの取り分として貰い受けるぞ」 「うむ……わかった。袁紹領では飛び地の管理になるゆえ徐州、青州の統治を認めよう」 草木も寝静まる暗闇の中、二人の英雄の密談が進んでいた。
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