二章

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乾いた大地の匂いが鼻をくすぐる。鳥達のさえずりが耳に優しい。温かな陽の光が目に眩しい。 「ん……ここは……?」 「信長様!」 「その声は……濃。」 信長が目を開く。眩しさにしばらくはっきりとは見えなかったが、その優しげな声は姿を見ずともわかっていた。 濃姫の声と香の匂いに安心するも、すぐさま信長は疑問を感じた。 (儂は……本能寺で……) 「いかにも。あなたは本能寺で光秀に襲われ死んだようですね。」 涼やかな声が聞こえた。はるか昔に聞き覚えのある声。 「お主は……まさか?なぜ生きておる?」
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