二章

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信長の仕官請求に半兵衛は苦笑いしつつ答えた。 「あなたが私の主に相応しければ。」 「うむ。お主の望まぬ主人であるならばいつでも去るが良い。」 信長は微笑んだ。 半兵衛は深い礼をして仕官することを表明し 「では殿、後ほど。」 と信長のいる幕舎を出ていった。 半兵衛は幕舎を出つつ考えていた。以前は信長に強い嫌悪感を抱き、秀吉にならばと仕えた。 今の信長には嫌悪感を抱くどころか好感が持てた。 以前の厳しさ、性急さが感じられず、今まで見たことのない柔らかい表情は秀吉に勝るとも劣らない。 そんな半兵衛の元に若武者が駆け寄ってきた。 「竹中殿。父上は?」 信忠だ。
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