第二部 七章

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司馬懿と賈詡が見つめる中、許儀と典満が配置につく。 そして司馬懿が車懸りの回り具合を確認し、機を合わせて旗を降った。 二将の騎馬隊が色の繋目目掛けて猛進していき、同時に白の部隊の前後に入り込んだ。 作戦通り、許儀が白の部隊を抑え、典満が茶の部隊の進軍を妨害する。それを目視した司馬孚が白の部隊への反撃を開始した。 「面白いではないか」 危機に陥ったにも関わらず、鬼小島弥太郎は嬉々として司馬孚軍の攻撃をあしらう。従う兵たちも強兵で、司馬孚軍の反撃を受けつつも許儀隊と互角に戦っていた。 「御屋形様、車輪が止められましたぞ」 「ほう。流石は司馬仲達よ。ならば逆巻きせよ」 謙信とて無策ではない。以前竹中半兵衛に車懸りを止められた事から対策を練っていたのだ。 上杉軍本隊に青い旗が翻る。それを見た車懸りの全部隊が行軍を止め、そして一斉に反対方向へと回りはじめた。 許儀隊は背後から黒の部隊に襲撃され、典満は後退していく茶の部隊を追おうとしたが、鬼小島隊に防備の薄い後方を反撃されて混乱状態となっていた。 司馬孚も弥太郎とその旗本らに手間取り、救援に向かうことは出来ない。 「やはり手は打ってあったな。ここは出直した方が良いのではないか?」 賈詡が進言する。しかし司馬懿は、 「いえ、想定してあります故」 と、告げ、部下に「整っておるか?」と問い質した。 「先程配置についた、と」 「では、色の繋目を攻撃せよ、と伝えよ」 部下が走り去る。
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