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「どうしたのだ、そなた自ら来るとは?」
さすがの昌信もこの氏郷の行動を怪訝に思ったのかわずかなから警戒心が見え隠れしている。
「現状を打破するための策を高坂殿に聞いて頂こうかと。使者では上手く伝えられるか些か不安で自らやって参りました」
「なるほどのう。しかしそちら側は大丈夫か?」
「はい、沮鵠殿を呼び戻し堅く守らせております」
「そうか。では聞こう」
「高坂殿に油断をして頂きたい」
「油断せよだと?」
「はい、こうも規律良くまた高い士気では、いくら寡兵の仇敵と言えど相手も攻めて来ますまい」
「攻められよと?」
「おそらく賈詡はこちらの厭戦からの油断を狙ってくる策なのでしょう。崩れた所から次々と各個撃破していくのではと」
「なし崩しか。確かにここで我らが敗れれば次は一条殿、色部殿、氏郷殿と順に撃破されることとなりかねんな」
「しかし、これを逆手に取れば我らが賈詡の策を乗っ取っることもできましょう」
「承知した。では氏郷殿の策でやってみよう。各隊にも指示を出しておく」
「ありがとうございます、ここまで来た甲斐がありました」
「氏郷殿が戻り次第作戦開始と行こう」
策を伝え、またその策が採用され氏郷は勇んで帰っていった。
「あのような者が織田を支えているのか。強いわけよ。皆に気を抜くふりをして敵を誘き寄せると策を説明しておけ」
昌信は氏郷の背を見送りながら、部下に指示を出すと作戦が始まるまで横になり身を休ませた。
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