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「義父上はこの時代に覇を唱えん、と思わぬのですか?再び与えられた命、御自身の為に使おうと思わぬのですか?」
秀満が発奮させようと煽るが、光秀は涼しい顔で聞き流している。
「義父上!」
「くどいぞ、秀満」
更に煽ろうとする秀満を、光秀は一喝してとどめた。
これには秀満も不満ながら口をつぐむしかなく、渋々と光秀に付き従って呉へと戻っていった。
季節は移り変わり冬を迎える。
呉では孫策亡き後のゴタゴタがまだ続いていた。
皆の吐く息は白く、雪は降らないまでも、吹き付ける風が身に凍みる。
そんな中を秀満は一人鬱々と歩いていた。
あれ以来光秀は、忙しいのもあるのだろうが、秀満を遠ざけているような気がしていた。
秀満も光秀の推薦で孫権の家臣団の一員となってはいたが、特に仕事を与えられるでもなく、閑職のようで、余計に気が滅入る。
「秀満殿、秀満殿」
後ろから呼ばれる声にも気がつかず、肩をたたかれ、振り向いた先には利三が、心配そうな表情で立っていた。
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